踏切で一時停止する意味を考える〜あなたが意識するだけで事故のリスクは激減する
たまたまなのでしょうが、最近、踏切で一時停止しない車両とよく遭遇します。「踏切不停止等違反」は2点、普通車で9,000円の反則金です。(通常の「一時不停止等違反」も点数は同じく2点ですが、反則金は7,000円です)
そもそも、何故、踏切で一時停止が必要なのでしょうか。中には、「1台1台のクルマがそれぞれ一時停止をするから踏切周辺で渋滞が発生するんじゃないか!安全確認をすれば踏切の一時停止等は必要ない!欧米の踏切では一時停止しないらしいじゃないか!日本でもそうすべきだ!」という方もいらっしゃるかもしれませんが、それは大きな間違いです。
そもそも、欧米諸国と日本では、交通事情が大きく異なります。踏切の一時停止義務があるのは主に日本や韓国で、アメリカやヨーロッパでは「減速して通過」です。欧米諸国の踏切では、都市部においては、そのほとんどが地下鉄になっていますので、電車がほとんど通らない踏切が多いのです。(貨物車両が1日数本等)ですから、踏み切りが開いている時はそのまま減速して通過するというだけの話です。(大型車は乗用車と比較して、事故になると被害がとても大きくなるので、日本と同様、一時停止義務があるそうです)日本では、分単位で電車が通過する地域もあり、欧米諸国のようにはいきません。
先日、このような事故がありました。車と列車の衝突 2人死亡1人大けが(NHK)記事によると、この事故で、軽乗用車はおよそ120メートル先まで列車に押されて大きく壊れ、乗っていた3名のうち、2名の方はお亡くなりになったそうです。また、列車の運転士は「踏切に入ってくる軽乗用車に気が付き、非常ブレーキをかけたが間に合わなかった」と話しています。
踏切で一時停止するメリットは、「通過できると判断したものの、踏切の先が渋滞で詰まったり、信号が赤に変わったりで、踏切内で停止せざるを得ない状況」いわゆる「踏切内での立ち往生」を回避できるという点だと思います。これはきわめて重要なことです。何故なら、電車はクルマ以上に急には止まることはできないからです。
特に、駅の近くの踏切では人通りが多く、大量の歩行者が横断歩道を渡るため、思うように前に進めず、そんなとき、カーンカーン、カーンカーンと遮断棒(遮断桿)が降りてきてしまい、焦る。私を含め、多くのドライバーの方が経験あると思います。「自分は踏切内で立ち往生などしない」こんな風に考えていても、実際は誰しもがその可能性はあり、決して他人ごとではないのです。
踏切内での立ち往生を回避するもっとも有効な策は、「しっかり、きっちり一時停止する」ということを忘れないようにしましょう。「当たり前のことだろ!」とご指摘を受けるかもしれませんが、「信号無視はダメですよ」「歩行者には注意して下さい」「スピード違反はいけませんよ」「安全確認はしっかりやって下さい」どれも当たり前のことです。少なくとも、交通安全という観点から考えると、それらの「当たり前」を実践するということはきわめて効率的な事故防止策であることは間違いありません。「踏切で一時停止」「安全確認」「前のクルマが踏切を渡りきってから進入する」これらの「当たり前」を実践し、交通事故を未然に防いで下さい。今日もし、あなたが踏切を横断することがあったときは、少しでもこの記事を思い出していただければ嬉しいです。
そういえば、教習所では「踏切では窓を開けて耳でも確認するように」と、教えられてきましたが、パトロール中のパトカーが踏切で窓を開けて確認している様子を一度も見かけたことがありませんが、もはや形骸化してしまっているのでしょうか…安全意識を高めるうえでも非常に意味があることですので、皆さんには是非、実践していただきたいと思います。
では、ドライバーの皆さん、本日も安全運転でお願いします。