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交通事故慰謝料3つの基準と計算式

交通事故慰謝料3つの基準と計算式

そもそも交通事故慰謝料とは

交通事故慰謝料とは、厳密にいうと交通事故被害者であるあなたが保険会社から支払ってもらうべき賠償金の項目のひとつです。自分が支払ってもらうべき項目を知り、それぞれの簡単な計算式のもと、妥当な賠償金を把握しておけば、保険会社に提示された金額に対しても「内訳は?」と問うことができるのです。
ですから、ここでは交通事故被害者の皆さんに自身が支払ってもらうべき賠償金の全項目をご説明いたします。

交通事故の賠償金内訳〜慰謝料は賠償金項目の中のひとつです

皆さんがよく言う「交通事故の慰謝料」とは、多くの場合、「賠償金全体」を指しているようですが、「慰謝料」は賠償金の一部であることを理解しておきましょう。賠償金の内訳は下記のとおりです。

  • 治療費
  • 入通院慰謝料
  • 通院交通費(過剰なタクシー利用にはご注意下さい)
  • 休業損害(休む必要性を認められた場合)

あなたの「後遺症」が「後遺障害」として認定されたときには、上の4項目に加え、「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」が別途支払われます

請求する妥当性と内訳を明確にしておく

前項でご説明したように「慰謝料」=「賠償金」ではないということがお分かりいただけたと思います。なぜ、それぞれの項目を知っておく必要性があるかというと、勘違いをしている、あるいは、間違った知識をもとに増額交渉してくる交通事故被害者を保険会社の担当者は相手にしないからです。このような言い方をすると、少し語弊があるかもしれませんが、実際に示談交渉や後遺障害申請に関わるアドバイスなどをしていて、私たちはそのように感じています。

ですから、保険会社をはじめから敵視するのではなく、そもそも自身が主張していることは道理にかなっているのかを考え、正しい知識や計算方法を知り、それを正しいプロセスを踏んで請求すれば、保険会社もそんなに無茶苦茶なことは言いません。中には、そのようにしても無茶苦茶なことを言う担当者もいますが、ほとんどの場合、許容範囲の妥協点を提案してきます。

交通事故慰謝料3つの基準と計算式

まず、交通事故の慰謝料には2種類あります。

入通院慰謝料
後遺障害慰謝料

です。

「後遺障害慰謝料」については、その名の通り、あなたの「後遺症」が「後遺障害」として認定された場合に支払われるべきものです。一概にはいえませんが、「後遺障害慰謝料」は、あまりモメる項目ではありません。中には、この項目においてもお互いの主張がぶつかり合い、「紛争」となるケースもありますが、基本的には比較的スムーズに支払われている項目です。しかし、最近は、算定機構が厳しくなっており、特に14級あたりは後遺障害への認定が厳しくなっている傾向がありますので、事前にご相談されることをおすすめします。
※認定なし(非該当含む)と14級では百万円以上変わります。

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問題は「入通院慰謝料」の方です。こちらについては、被害者側の知識が少ないことや、昔からの「保険会社」に対する一般的な(良くない)イメージも手伝い、「保険会社には騙されないぞ!」「きっと、ごまかしているに決まっている」などという、感情を抱く交通事故被害者の方が多く、それが余計に示談をややこしくしてしまっている感が否めません。

もっとも良くないのは、知識(難しくはありません)がないまま、その保険会社に対し、ネガティブなイメージを持ち、知り合いや、ネットの掲示板などでいわれているような真偽が定かではない情報を鵜呑みにして、保険会社との交渉を有利に進めようという、安易な考えです。その行為は、円満解決の時期を遅らせるだけではなく、慰謝料をはじめとする交通事故にかかわるすべての賠償金を目減りさせることにもなりかねませんので、十分ご注意下さい。

あなたが正しい慰謝料計算式のもと、妥当な金額を請求した場合、相手がそれをまったく聞き入れないということはないでしょう。なぜなら、過去(事例)をみましても、保険会社は正しい慰謝料の計算式で算定された金額をもとにこれまで支払ってきたからです。保険会社とのやり取りをスムーズに進めるためには、「前例に照らし合わせ、妥協点を探していく」ことです。

前例から大きく外れることを保険会社は嫌いますし、増額の根拠を正しく主張できなければ、妥当な金額が提示されることはありません。保険会社も企業である以上、利益を追求しますので、「知らない人」にわざわざ親切丁寧に教えてくれるはずもありません。教えてくれる場合もあるのでしょうが、私たちの経験上、そのようなケースはきわめて稀なケースだといえます。では、そのような心構えをしていただいたところで、度々両者の意見や主張が食い違うことが多い「慰謝料(入通院慰謝料)」の基準と計算式についてご紹介いたします。

交通事故の入通院慰謝料の計算には3つの基準がある

「交通事故 慰謝料」や「交通事故 慰謝料 計算」と検索エンジンに入力すると、驚くほどのページが表示され、それらを見てみると、どうやらご自身の慰謝料の計算式が分からない方や、それ以前に「賠償金」=「慰謝料」だと勘違いされている方も多く見受けられます。「慰謝料の計算式」と耳にすると、何やら小難しく聞こえてしまうかもしれませんが、知ってしまえばなんてことはありません。

簡単な慰謝料の計算を面倒に思ってしまうことで、保険会社とのやり取りすべてにおいて、投げ出してしまいたいという思いから、行政書士や弁護士等の専門家に依頼することを検討しているような方々もいらっしゃるようですが、少なくともこの時点では専門家は必要ありません。しかし、交通事故の賠償問題は「慰謝料の計算」だけではありませんので、時間や精神的負担の軽減を優先したい人やご自身の保険に弁護士特約が付いている方は、はじめから弁護士に相談・依頼してもいいでしょう。

慰謝料計算式その1・自賠責基準の慰謝料計算式

入院は入院期間、通院は実通院日数を2倍したものと、治療期間を比べてどちらか少ない日数が適用されます。自賠責保険の計算基準は法律で決まっており、慰謝料は1日4,200円となっています。

・実通院日数×2
・治療期間

上記いずれかの少ない方に4,200円をかけて計算します

(例)治療期間90日、実通院日数42日
42×2<90 となりますので、「実通院日数の2倍である84日」を採用。
治療期間90日、実通院日数48日
48×2>90 となりますので、「治療期間の90日」を採用。

この「自賠責基準」は、保険会社があなたに支払う総支払い額(治療費、休業損害、通院費、入通院慰謝料など)が120万円を超えない場合に限り採用されます。総支払い額が120万円を超える場合、保険会社は、「総支払い額が自賠責基準の120万円を超えたため、任意保険基準に基づき算出」してきます。

慰謝料計算式その2・任意保険基準の慰謝料計算式

慰謝料算定では1ヶ月=30日とします。下の表をもとに、症状や程度によって増額されたり、月平均の通院日数が少なければ減額されるなどの調整がなされます。

単位
(万円)
入院 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月 7ヶ月 8ヶ月 9ヶ月 10ヶ月
通院 25.2 50.4 75.6 95.8 113.4 113.4 128.6 141.2 152.4 162.6
1ヶ月 12.6 37.8 63.0 85.6 104.7 120.9 134.9 147.4 157.6 167.6 173.9
2ヶ月 25.2 50.4 73.0 94.6 112.2 127.2 141.2 152.5 162.6 171.4 176.4
3ヶ月 37.8 60.4 82.0 102.0 118.5 133.5 146.3 157.6 166.4 173.9 178.9
4か月 47.8 69.4 89.4 108.4 124.8 138.6 151.3 161.3 168.9 176.4 181.4
5ヶ月 56.8 76.8 95.8 114.6 129.9 143.6 155.1 163.8 171.4 178.9 183.9
6ヶ月 64.2 83.2 102.0 119.8 134.9 147.4 157.6 166.3 173.9 181.4 185.4
7ヶ月 70.6 89.4 107.2 124.3 136.7 149.9 160.1 168.8 176.4 183.9 188.9
8ヶ月 76.8 94.6 112.2 128.6 141.2 152.4 162.6 171.3 178.9 186.4 191.4
9ヶ月 82.0 99.6 116.0 131.1 143.7 154.9 165.1 173.8 181.4 188.9 193.9
10ヶ月 87.0 103.4 118.5 133.6 146.2 157.4 167.6 176.3 183.9 191.4 196.4

任意保険基準の慰謝料はこのような表に基づいて計算するのですが、保険会社と交渉するときは、次項の「弁護士基準(裁判基準)の慰謝料」で請求して下さい。

慰謝料計算式その3・弁護士(裁判)基準の慰謝料計算式

むち打ち症などで他覚的所見がない場合(損害賠償額算定基準:別表Ⅱ)

単位
(万円)
入院 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月 7ヶ月 8ヶ月 9ヶ月 10ヶ月
通院 35 66 92 116 135 152 165 176 186 195
1ヶ月 19 52 83 106 128 145 160 171 182 190 199
2ヶ月 36 69 97 118 138 153 166 177 186 194 201
3ヶ月 53 83 109 128 146 159 172 181 190 196 202
4ヶ月 67 955 119 136 152 165 176 185 192 197 203
5ヶ月 79 105 127 142 158 169 180 187 193 198 204
6ヶ月 89 113 133 148 162 173 182 188 194 199 205
7ヶ月 97 119 139 152 166 175 183 189 195 200 206
8ヶ月 103 125 143 156 168 176 184 190 196 201 207
9ヶ月 109 129 147 158 169 177 185 191 197 202 208
10ヶ月 113 133 149 159 170 178 186 192 198 203 209

 

上記以外の場合の傷害部分の慰謝料基準表(損害賠償額算定基準:別表Ⅰ)

単位
(万円)
入院 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月 7ヶ月 8ヶ月 9ヶ月 10ヶ月
通院 53 101 145 184 217 244 266 284 297 306
1ヶ月 28 77 122 162 199 228 252 274 291 303 311
2ヶ月 52 98 139 177 210 236 260 281 297 308 315
3ヶ月 73 115 154 188 218 244 267 287 302 312 319
4ヶ月 90 130 165 196 226 251 273 292 306 326 323
5ヶ月 105 141 173 204 233 257 278 296 310 320 325
6ヶ月 116 149 181 211 239 262 282 300 314 322 327
7ヶ月 124 157 188 217 244 266 286 301 316 324 329
8ヶ月 132 164 194 222 248 270 290 306 318 326 331
9ヶ月 139 170 199 226 252 274 292 308 320 328 333
10ヶ月 145 175 203 230 256 276 294 310 322 330 335

弁護士(裁判)基準の請求は、それなりの根拠が必要です。つまり、弁護士もたてないのに、ただただ「弁護士基準で支払ってほしい」と主張したところで、それが認められることはないということなのです。ですので、これらの計算に基づいた理由として、実際に弁護士に相談・依頼するか、無料で利用できる「交通事故紛争処理センター」等を上手に活用しましょう。(弁護士特約が付いていれば一般的に「弁護士費用は300万円限度」「法律相談費用は10万円限度」としている保険会社が多いようです)

ご自身の保険に弁護士特約が付いていたり、「弁護士報酬を支払っても自分が手にする金額が増える」という方は、今すぐに弁護士に相談しましょう。
一方、時間がかかっても(平均3回の面談=3ヶ月程度)構わないので、交通事故紛争処理センター等の機関を利用し、無料で弁護士にお願いしたいという方は、交通事故紛争処理センター等を利用すると良いかと思います。
※ただし、交通事故紛争処理センターで時間をかけて順番を待った結果、必ずしも担当弁護士が積極的に動いてくれるというわけではありません。

交通事故に強い弁護士

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