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対保険会社

通院時の過剰なタクシー利用は百害あって一利無し

通院時の過剰なタクシー利用は百害あって一利無し

先日、以下のようなご相談を受けました。
「保険会社の担当者が通院時のタクシー利用を認めてくれない」「どうしたら、認めてもらえます
か?」実はこのようなご相談は結構多いのです。
「なぜ、自分がこんな目に遭わないといけないのか」
という被害者意識(感情)も手伝い、保険会社の担当者がタクシー利用を認めないことばかりにこだ
わってしまうのです。

もちろん、お気持ちは分からなくはありません。
しかし、もし、あなたもそのようにお考えであるのであれば、今一度ご自身の目的を再確認していた
だきたいと思います。

「イライラをぶちまける」ためであれば、私は止めません。
ある日、突然、交通事故に遭ったことによりあなたが被った被害やストレスは大きいものでしょうか
ら、「イライラをぶちまける」ことが目的であった場合、逆にいうと、それを止める理由はありません。

しかし、後々支払われる慰謝料をはじめとする賠償金の増額が最終目的であれば、

「その行動!ちょっと、待って下さい!」

と、提言させていただきます。

まず、少し冷静に考えると、治療費がいくら掛かろうと、交通費がいくら掛かろうと、そこに一時的
な立替えが発生することはあっても、1円もあなたの得にはなりません。

電車やバス、車での通院と違い、タクシー代を支払う場合、必ず領収書の提出を求められますので、
タクシーを2回しか利用していないのに5回利用したなどということもできないのです。(保険金詐欺
になります)

つまり、実際に乗車した分しか支払われないので、賠償額全体の金額が上がったとしても(それにし
ても微々たるものですが)タクシーを利用したことによって、あなたに入ってくるお金が増えるわけ
ではありません。

たとえば、トータルの賠償金が300万円だったとします。
その内の120万円は治療費です。
この治療費が150万円になり、賠償金が330万円になったとしても嬉しくありません。
これとほとんど同じです。

本当にタクシー利用がやむを得ない場合は仕方ありませんし、タクシーを利用するべきだと思いま
すが、私の経験からすると、そのような交通事故被害者はあまり多くありません。

「動けないほどの症状であれば入院して然るべき」と、保険会社は考えます。
「保険会社は」と言いましたが、一般的に考えてもそのように考える人の方が多いのではないでし
ょうか?

また、「こちらは事故のせいで多大な迷惑を被っているんだ。通院時にタクシーを利用したとして
も、とやかくいわれる必要はない」と考え、保険会社の担当者に事前に相談(あるいは報告)する
こともなく、複数回タクシーを利用し、その領収だけを保険会社の担当者宛に送りつける人もいた
りします。

これは断言できますが、そういう人は120%損をしています。
確実に損をしています。
シロートの目からみて、「特に損はしていない」と思うかもしれませんが、見えない部分(項目)
で確実に金額を削られています。

たとえば、1回のタクシー利用が1,000円だったとします。
往復で2,000円ですね。
月に15日の通院すべてにタクシーを利用して、またそれが百歩譲って認められたとしても、3万円
です。
そして、またまた百歩譲ってそれが奇跡的に2か月認められたとして、(通常、あり得ません)
いくらになりますか?

たったの6万円です。
しかも、この6万円はタクシー会社に支払われるものであって、あなたに入るお金ではありません。

たったの6万円で保険会社の担当者とのコミュニケーションはほぼ崩壊します。
その結果、治療打ち切りは早められ、お見舞金は支払われず、交通事故紛争処理センターなどで、
最終調整の際、相手がこちらの提案をすんなり受け入れる可能性がなくなるのです。

保険会社とのコミュニケーションを上手に築くことができれば、数十万円あるいは数百万円の増
額が見込めます(実際にそのような案件は多くあります)が、たったの6万円でコミュニケーショ
ンが崩壊すれば、本来提示してくる金額がグッと目減りすることだってあるのです。

本当にタクシー利用がやむを得ない状況であれば、相手もプロですから分かります。
そのようなときは、保険会社もあまり無茶なことは言いません。

タクシーを利用してはいけないと言っているのではなく、損をしないで下さいと言っているのです。

今回の記事で私が皆さんにお伝えしたいことは、以下の4点です。

  1. 保険会社の担当者とのコミュニケーションには配慮する。
  2. 感情を抑え、それが本当に自分にとって得になるのかを冷静に考える。
  3. 担当者は示談交渉のプロであることを知る。
  4. 担当者も人の子であることを知る。

上記4点は、当然のことといえば当然なのですが、いざ自分が当事者になると、なかなかできなか
ったりするものです。

皆さんも上記のことなどに注意して、円満解決を目指していただければと思います。

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