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交通事故損害賠償の世界は「オカシイ」のが「普通」です〜通院実績

交通事故損害賠償の世界は「オカシイ」のが「普通」です〜通院実績

損害賠償の世界では「おいおい、それって、おかしいじゃないか!」ということがしばしばあるものですが、交通事故の示談、損害賠償等に関わる人たちからすれば「いやいや、それが普通ですよ」ということは結構あるものです。
今回は、そんなお話をしたいと思います。
ある交通事故被害者の方から相談を受けた実際にあったお話です。

交通事故の内容はというと、被害者の方が赤信号停車中に後方から運転操作を誤った加害者車両が追突してきたものであり、過失割合は(相手)10:0(被害者)で、一見すると特にモメる案件ではないような気がします。

しかし、結果から先にいうと、この案件はモメました

モメた内容は慰謝料部分ではなく、休業損害についての補償です。
被害者は、1人で塾を経営していた50代の男性です。
交通事故に遭ったことが原因で、3週間程度塾の休講を余儀なくされました。

幸い、私のところへは早い段階で相談があったので、後々の賠償問題を円滑に進めるため、「通院実績はしっかりとつくっておいて下さい」とお願いしていました。

しかし、その被害者の方は、こう言います。
「薬は他のところでも手に入るし、『通院実績』のために何度も通うというのも…」
私は、言いました。
「『通院実績』というものは後々、あらゆる賠償問題に波及してきますので」と。
念のため言っておきますが、その方は仮病等ではなく、実際に塾を休講しなければならないような症状が出ていたことは私からみても明らかでした。(結局、その方は、1ヶ月に4回しか通院しませんでした)
また、「モラルなき保険会社の担当者」がいるように「モラルなき交通事故被害者」という人たちもいるなかで、その方は、非常に高いモラルをお持ちだったのでしょう。

残念なことに、後々、賠償問題でモメた理由はそこにあるのです。

思っていたとおり、示談交渉はモメました。
被害者は、「交通事故で塾を3週間休講したのだから、その休業補償を支払ってほしい」と、主張しました。
しかし、4回通院しただけで3週間分の休業補償を支払えと言っても通用しません。
その方の言い分はこうです。

「不必要に通院するのはオカシイ」

この論理や考え方は、きっと正しいのでしょう。
しかし、損害賠償の世界では通用しません。
損害賠償は書類や客観性がすべてなのです。
しっかりと通院して、「通院実績」をつくっておかなければ、通る意見も通らなくなります。
休業補償や慰謝料もそうですし、今回のケースでは関係ありませんが、後遺障害の認定にだって、通院実績がひとつの大きな要因としてあります。
それは、判断材料が「書類」がすべてだからなのです。

悲しくも、私たちは、後々の賠償問題(特に慰謝料や休業補償、逸失利益部分)を想定して「通院実績」が「必要」だと判断しても、その方はそれを「不必要」だと判断したわけです。
前者はひねくれた考えかもしれませんが、後者は倫理的にも「正しい考え・判断」だとは思います。
しかし、何度も言いますが、少なくとも賠償問題の世界でそれは通用しないのです…

当然、私もそのようなことを被害者であるその方に少しずつアドバイスしていたのですが、その姿勢を最後の最後まで崩さないものですから休業損害を1週間分しか認めさせることができませんでした。
示談交渉にかなりの時間をかけても、この結果が精一杯です。
ご本人も海千山千の加害者側の保険会社担当者とのやり取りに辟易することもあり、塾を休講しなくてはならない精神的ストレスも大きかったのでしょう。
示談交渉の終盤戦はかなり疲れたご様子でした。

そして、結果を聞いた私が、被害者であるその方に「ほら、『通院実績』がいろんなことに波及してくるのですよ」というようなことを言うと、それでも彼は元気よくこう言いました。

「ええ。でも、やはり、不必要に通院するのはオカシイですから!」

損害賠償の世界でその考え方が通用しないことは事実ですが、このような交通事故被害者にこそ保険
会社は正しい賠償金を支払うべきだと感じました。
そんなことを考えながら、私は今日も交通事故被害者の損害賠償問題に立ち向かうわけであります。

今回、私が交通事故被害者の皆さんにお伝えしたいことは…

現状の損害賠償の世界では「通院実績」と「ある程度の理論武装」は必須になるということです。

弁護士法人ベリーベスト法律事務所
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