業務中や通勤途中の交通事故は、労災保険が適用されます。労災保険は、「労働者災害補償保険法」という法律に基づき、業務・通勤中のケガや病気による治療費、休業中の損害を補償する労働者のための制度です。ここでは、「労働者災害補償保険法」について、ご紹介させていただきたいと思います。

「業務中の事由」と「通勤途中」とは

「業務中の事由」あるいは「通勤途中」の交通事故で死傷した場合は、会社が加入する労災保険に対し、保険金を請求することができます。業務中の事由とは具体的にどういった場合を指すのかというと、就労中はもちろん、例えば、会社主催の運動会や社員旅行に行った際のケガなどもこれに含まれます。

「通勤途中」は、「住居と就業場所の間を合理的な経路で往復する」という規定によって定義されており、家に帰る途中にどこかへ立ち寄った場合は、通勤が中断されたとみなされ、以降の経路は対象外となります。

交通事故は第三者行為災害が適用されます

交通事故の場合、各労災給付請求手続きの他に、第三者行為災害届けを提出する必要があります。「第三者行為災害」とは、給付の原因となる事故が第三者(政府、事業主、及び労災保険の受給権者以外の者)の行為によって生じたもので、労災保険の被災者及びその家族に対して、加害者である第三者が損害賠償の義務を有していることを指しています。

第三者行為災害によって労災保険が適用されると、労災保険者(国)は支払った分の給付金を、後ほど加害者もしくは加害者の加入する保険会社に請求します。これは「損害賠償は損害を与えた加害者が賠償すべきである」という考えのもと、国が加害者の与えた損害を肩代わりしないために行われます。

また、労災保険の補償金は、その他の保険や制度の補償金と重複して受給することによって、損害額以上の補償が支払われないように支給額の調整が行われます。交通事故によって労災保険から支払われる給付金の種類については次のとおりです。

療養補償給付治療費の全額が支払われる
休業補償給付治療のために4日以上休業した場合に支払われる
障害補償給付後遺障害が残った場合、等級に応じて障害補償年金または障害補償一時金が支払われる
遺族補償給付被害者の遺族に対して遺族補償年金または遺族補償一時金が支払われる
葬祭費被害者が死亡した場合、葬祭を行った遺族、事業主、友人などに支払われる
傷病補償年金1年6カ月を越えても傷病の状態が継続し、傷害等級表により1〜3級と認められた場合、休業給付に代わり、所定の年金が支払われる
特別支給金上記のうち、休業補償給付、障害補償給付、遺族補償給付、傷病補償年金の受給権者には、別枠で特別給付金が支払われる

業務時間中や通勤途中の交通事故の場合、業務災害と違い、たとえ労災保険を使用したとしても(会社側の)保険料は上がりません。「保険料が上がるのでは」と気にする経営者の方に対しては、保険料が上がらないことを伝え、労災保険の申請を行いましょう。