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交通事故全般

後部座席におけるシートベルト着用の必要性

後部座席におけるシートベルト着用の必要性

あなたは後部座席において、同乗者にシートベルトを着用させていますか?助手席はシートベルト着用を意識していても、「後部座席までシートベルトの徹底?そこまでやることはないでしょう」と考えているドライバーは、まだまだたくさんいるようです。警察庁などが神奈川県で350人を対象に実施した調査結果では、38.3%が後部座席でシートベルト非着用だったそうです。また同県において別の機関が調査した結果、後部座席におけるシートベルト非着用率はなんと55%でした。調査の状況等で多少の違いはあるにせよ、約半数程度の人たちが後部座席ではシートベルト非着用ということですから、ドライバーや同乗者への意識付けを急がなければなりません。

平成20年の道路交通法改正で全座席でのシートベルト着用が義務化されました。これによって、もちろん後部座席の人にもシートベルトを着用させる義務はあるのですが、実際問題、「後部座席のシートベルト非着用」ということで何らかの罰則を受けたという話はあまり聞きません。後部座席のシートベルト非着用について、罰則や危険性、過失割合・過失相殺等についてお話したいと思います。

後部座席のシートベルト非着用で取り締まられる状況

以前は、「後部座席もシートベルトを着用させるよう努めなければならない」というのが、平成20年6月1日施行の改正道路交通法によって、「全座席におけるシートベルト着用の義務」となりました。

【道路交通法第71条の3】
自動車(大型自動二輪車及び普通自動二輪車を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定により当該自動車に備えなければならないこととされている座席ベルト(以下「座席ベルト」という。)を装着しないで自動車を運転してはならない。(後略)自動車の運転者は、座席ベルトを装着しない者を運転者席以外の乗車装置(当該乗車装置につき座席ベルトを備えなければならないこととされているものに限る。以下この項において同じ。)に乗車させて自動車を運転してはならない。(後略)

簡単に言うと、「運転する人はシートベルトを着用して下さい。シートベルトを着用していない人が同乗している状態で車を運転してはいけませんよ」というところでしょうか。

違反についての行政処分等についてですが、「後部座席については、高速道路(高速自動車国道又は自動車専用道路)の違反については、行政処分の基礎点数1点が付されます。」となっており、点数は引かれますが、反則金はありません。一般道においての違反には行政処分も反則金も課されません。

後部座席シートベルト非着用のリスクはきわめて高い

【命にかかわるリスク】

これは、もはや言うまでもありません。運転席におけるシートベルトの着用は取り締まりの強化や、各所における交通安全活動によって今やほとんどのドライバーが着用し、そのおかげで交通事故死者数は激減しています。シートベルトを着用していない場合、交通事故に遭ったとき、最悪、外に投げ出されます。もし、運転席においていまだにシートベルトをしていないドライバーがいるとすれば、それは絶対にやめましょう。あなたが運転席においてシートベルトを着用しないということは、交通安全に対しての意識が低いということであり、あなただけの問題ではなく、交通安全意識が低い人の運転する車に同乗した人や、周囲の車や歩行者、サイクリスト等までに危険が及びます。

シートベルトというものは、ドライブレコーダーと同じで、それ自体が交通事故を防止するものではないと考える人たちも多いようですが、私はそうは思いません。すべては交通安全意識を高め、交通事故防止に貢献しているはずです。また、後部座席におけるシートベルトの着用についてですが、まだまだ半数程度の人がシートベルトを着用していないわけですが、子どもにはシートベルトを着用させているケースが多く見受けられます。縁起でもない話で恐縮ですが、あなたが交通事故によって子ども失うこともあるわけで、実際にそのような大変な思いをされている方もいるわけです。しかし、逆も考えて下さい。子どもが父親や母親を失うこともあるわけです。子どもだけではなく、全座席、全同乗者にシートベルトの着用を徹底しましょう。

【賠償問題におけるリスク】

札幌地裁において昭和62年11月20日(事件番号 昭和61年(ワ)第5096号)に次のような判例がありました。

高速道路走行中、自損事故を起こして後部座席同乗中の被害者が車外に放り出され死亡した事案につき、シートベルト装着を指示したが、装着を確認してなく、強く指示していないこと、後部座席同乗者の装着がそれほど一般的でないこと等から、シートベルト不装着による過失相殺は不当である。

その他にも、

大阪地裁 平成5年4月8日判決
事件番号 平成4年(ワ)第6347号
父親保有の乗用車助手席に同乗中、友人の運転操作ミスで事故死した事案につき、被害者と加害運転者とは共同運行供用者の関係にあること、深夜60km道路を120kmでの走行を制止しなかったこと、シートベルトを締めず、激突の衝撃でフロントガラスを突き破って死亡したこと等から、同乗者の過失として4割の過失相殺が適用された。

岡山地裁 平成5年11月25日判決
事件番号 平成4年(ワ)第704号 損害賠償請求事件
被害者死亡での、シートベルト不着用が損害拡大によるものではないと、過失相殺事由とは見なさなかった。

神戸地裁 平成7年10月17日判決
事件番号 平成6年(ワ)第577号 損害賠償請求事件
顔を窓から外に出して同乗中、中央分離帯に衝突した衝撃で車外に放出され死亡した被害者に、シートベルト不着用も考慮し、25%の減額を認めた。

さまざまなケースがありますが、ひとつだけ言えることは、現在では、後部座席を含め前座席にシートベルト着用義務が設けられたことからすれば、後部座席のシートベルト着用義務が一般化し、助手席や運転席と同様の判断がなされる可能性が高いと思われます。

弁護士法人ALG&Associates

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