「運転にはその人の生活が表れる」これは、カナダの精神医学者ティルマンとホブスが述べたものです。精神医学的、社会的な面で問題があることを述べた論文のごく一部です。「運転にはその人の生活が表れる」あるいは「運転にはその人の性格が出る」などと、あなたも一度はどこかで耳にしたことがあるかもしれません。それがどこかで学術的に語られるとすれば、そのおおもとは、このティルマンとホブスの論文によるものかと思われます。

しかし、その言葉だけがクローズアップされ、その先にある大事なことが紹介される場面はほとんど見ることはありません。ということで、今回の記事では「運転にはその人の生活が表れる」という言葉の先にある大事なことをご紹介したいと思います。

「運転にはその人の生活が表れる。注意深く、忍耐力があり、思慮深く、他人への配慮に満ちた生活をする人は運転でも同じような仕方で運転するだろう。しかし、このような望ましい特徴を持っていない人は、安定感のない攻撃的な運転をして、長期間にわたって交通事故を起こすだろう」

と述べています。

ティルマンらは96人の事故反復タクシードライバー群100人の無事故ドライバー群を比較しました。その結果、事故群は無事故群に比べて犯罪歴があって裁判所や保健所、福祉事務所、信用調査所等の世話になることが多かったそうです。ティルマンはドライバーとの3ヶ月の共同生活の経験をもとにして優良ドライバーの特徴を次のようにまとめました。

  1. 家庭的に安定している。
  2. 両親の離婚率が低い。
  3. 争いを好まない。
  4. 全体的に内気で物静かであり、遠慮がちな性格である。
  5. 学校で無断欠席をしたことがない。
  6. 職務は長期間にわたって安定している。
  7. 職場では穏やかで、振る舞いは控えめである。
  8. 庭いじり、スポーツ、教会活動などに幅広い関心を示す。
  9. 飲酒はほどほどで規律を守る。
  10. 他人の福祉に関心をもつ。
  11. 時には融和した人間関係をつくりにくく、運転中には会話をしないこともある。
  12. 他の運転者や通行人に対して礼儀正しい。
  13. いつも車はきれいで、車の形は控えめである。

ティルマンらの結論は、生活態度が運転にも影響を及ぼす可能性があるとしたもので、多くの専門家や研究者などから注目されました。そして、この結論が正しい証明したのが英国のブラウトンです。

ブラウトンは、1999年〜2005年の間に5万2,000人以上の英国人ドライバーを対象にして、スピードオーバー、無免許運転、飲酒運転、薬物服用運転、信号無視、免許停止中の運転、無謀運転、暴走行為などの交通違反を犯したグループと、窃盗、暴力行為、薬物違反、押し込み強盗、詐欺、文書偽造、強姦などの一般的法律違反群の関係を調べました。

その結果、4〜8回の犯罪歴のある群では交通違反歴のない群に比べて、21倍もの重大交通違反を犯し、4倍の軽い交通違反を犯していることが分かりました。ブラウトンは法律違反と交通違反との間には密接な関係があることを見いだし、50年前に示されたティルマンらの研究を裏付けることとなったのです。