交通事故被害に遭った場合、通常であれば、事故当日の現場から緊急で最寄りの受け入れ可能な病院に運ばれます。そして、その後は自宅近くの病院に通うはずです。何故、大して考えもせずに「家の近くだから」と何気なしに決めてしまうのでしょうか?賠償問題の被害者的立場からすると、これはかなり危険な行為だといえます。

特にムチ打ち被害者のケースは十分に注意する必要があります。何故なら、ムチ打ちは、そのほとんどが非該当か後遺障害14級であり、それらの場合、もっとも重要になるのが「後遺障害診断書」です。

そして、この後遺障害診断書は基本的にあなたの主治医にしか書けないと思って下さい。「書けない」というより「書いてくれない」「書くことを嫌がる」と言ったほうが正しいでしょう。

まず、後遺障害診断書はどのようなときに書かれるのかということを考えると、後遺症が残ってしまったときです。その「後遺症」を「後遺障害」として認定を受けるために必要になってくる書類なのです。つまり、これはどういうことを意味しているかというと…治療をしたが、治らなかった。あるいは、治せなかったということを意味します。

もちろん、世の中に「治らない」病気やケガはたくさんあるでしょう。しかしながら、「ムチ打ち」に関して、後遺障害診断書を書くことを医師は嫌うのです。どうやら、ムチ打ちは「治る」とか「治らない」という問題ではないようです。「だって、そもそもムチ打ちでしょ?」と軽視されているのでしょうか…

ムチ打ちは、ほぼすべての人たち(保険会社や医師)に「仮病扱い」されるという覚悟が必要です。交通事故被害者としては、たまったものではありませんが、そのくらいに考えておかなければ、正しい病院と医師を選び、その後、後遺障害を申請した後、保険会社との交渉まで行うことは難しいでしょう。そこに行き着くまでに心が折れてしまいます。

「自分が治せなかった」ということを嫌がる医師が多いということもあるのでしょうが、保険会社と病院は良くも悪くも「持ちつ持たれつの絶妙なバランス関係」の上に成り立っています。自分が書いた後遺障害診断書で認定された場合、保険会社が交通事故被害者に支払う賠償金は跳ね上がります。もちろん、これは仕方がないことです。しかし、「ムチ打ちで後遺障害診断書を書く」というのは、とにかく嫌がるものなのです。これは、「ムチ打ち」はケガや病気ではないと言いたいのでしょうか…本当に困ったものです。

あなたの主治医が後遺障害診断書を書きたくない1番の理由は何でしょうか?

それは…

「後遺障害診断書の書き方を知らないから」なのです。

ん?お医者さんが後遺障害診断書の書き方を知らないとはどういうことなの?

と、思われる方も多いと思います。もともと、医師はあなたの治療をするプロであって、後遺障害の認定実務については、まったくといっていいほど知りません。なかには、重要箇所をほとんど白紙状態で出す医師もいるので困ったものです。あなたも仕事等で、自分ができないことや苦手とすることを頼まれると、少なからず嫌がる気持ちが湧いてきませんか?後遺障害診断書についてもそれと同じことがいえるかもしれません。

とにかく、何も知らないでいると後遺障害診断書を書いてもらう時期に泣くことになります。病院選び、医師選びは慎重に行って下さい。

(おまけ)
治療半ばになってきたとき、保険会社が「そろそろどうですか?もし、まだ痛みや痺れが残るようでしたら、後は後遺障害を申請して〜うんぬんかんぬん」というようなことを言ってくるケースが多いのですが、保険会社の担当者はプロですから先にご説明したとおり、ムチ打ちの場合、主治医がそうやすやすと後遺障害診断書を書いてくれないことを分かっていて言っているケースがほとんどです。